戸倉城(静岡県)・・・笠原新六郎の謎

静岡県
02 /15 2017
三島市西方の狩野川流域では今川氏武田氏そして北条氏によるめまぐるしい領地争いがあり、
そのため小さくても重要な城が乱立、城めぐりには興味深い地域です。
伊豆と駿河の境であり韮山城の前衛地でもあったんですね。

その中の一つ戸倉城
狩野川が大きく蛇行した内側の本城山にありました。


戸倉城と言えば
北条筆頭家臣であり、小田原開城後に切腹させられた松田憲秀の嫡男笠原新六郎が武田に寝返ったため奪われた城
というのが一般的な見方で、いや・・・その通りなんですが。
この笠原新六郎(政尭)というが謎の人物でして。

松田憲秀の嫡男(次男とも)だったけど笠原家に養子に出され、笠原家に実子が生まれたので立場が微妙に・・・が定説ですが、
実は笠原家の次男として生まれ、松田家に養子に出され、松田家に実子(直秀)が生まれたので笠原家に帰された、
でも笠原家にも他の跡継(照重)が生まれちゃったので立場が超絶微妙に!という説も。
だとしたらなんとややこしく不運な身の上だったのでしょう。

あと、小田原攻めの折に父松田憲秀と共に秀吉方に内通して城内で打ち首となった、は有名な話ですが、
実は笠原新六郎は1626年、将軍家光の時代まで生きていていたというビックリ(ポン)な説もあるんです。

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(2枚とも三島市郷土資料館企画展「駿東・北伊豆の戦国時代」より)

三島市の法華寺に笠原隼人佐なる人物の墓があり、これが笠原新六郎と同一人物ではないかと言われています。


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もう一つ、三島市の蔵六寺にある正厳和尚の墓。
寝返った新六郎は武田氏滅亡後、北条氏政に許されて出家して蔵六坊と名乗り、1535年に蔵六寺を建てたらしいのですが、
この正厳和尚=蔵六坊、新六郎ではないかと。


でも蔵六寺の場合は年代が合わないんですよ。
新六郎の生年はわかっていませんが、ざっと考えても正厳和尚が生きていたのは新六郎が生まれる以前か幼少の頃となってしまいます。

なぜ笠原新六郎の墓と伝わるものが2つもあるのか、なぜ小田原開城後も生きていたという話があるのか。
北条にとってはにっくき裏切り者だし、笠原にとっては一族の汚点みたいな人、
歴史から消し去るならともかく残そうとした動きがあるのは不思議です。


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現在の戸倉城跡は本城山公園として整備され、かなり改変されています。
案内図を見てものほほ~んとした普通の公園にしか見えず。
主郭跡の説明板以外は城址としての表示は一切ありません。

主郭以外はどこを見たらいいのか、どこを通ったらいいのかわかりにくかったので
駐車場から主郭に登って竜泉寺に降り、寺付近の住宅地を散策、狩野川沿いをぐるっと回って東からまた山に登り、そして帰る!(笑)というコース。

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(「箱根をめぐる古城30選」より 戸倉城見取図)

ですからこの図で示されてる虎口推定位置から前衛部には行けなかったのー
というかわからなかったのホントに。
行っても遺構の判明は困難そうだから行かなくて良かったかも、と自分に言い聞かせる。

なお、この図では本城山南側低地の古水路を基に城域を推測しています。
竜泉寺が居館跡だそうで、
本城山と低地を利用した要塞の姿が浮かんできます。


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主郭跡。
東屋や展望台がある広場になってます。


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巨大キノコのような展望台。
中はなんだか・・・淋しい。


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展望台から柿田川合流地点の眺め。
柿田川の上流に泉頭城(柿田川公園)があり、かつては船で行き来していました。

復活させたらすごく楽しそう。


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主郭東側の袖郭にある巨石。
本城山は採石場でもあったため、公園化以前に遺構の破壊が進んでいたようです。


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袖郭の向こうに平削地や堀がなんとなく見えるのですが確認は無理な状態。


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唯一はっきりと確認できた堀と土橋。
でも堀は藪が激しくわかりにくい・・・

この先、竜泉寺へ降りる道は恐らく当時の姿を留めているのではないかと。


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竜泉寺横の推定虎口。
歴代住職の墓の奥に見えるのが現在の城址入り口です。


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伝居館跡、竜泉寺。
参道脇には巨石がゴロゴロ。


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竜泉寺前の美しい狩野川。
癒される光景です~

ここには船着場があったそうですよ。

公園の東端に続く川沿いの道には巨石が立ってたり、なかなか楽しい散策ができるのですが
途中私有地なのかな?と思われる箇所もあり、どこまで歩いていいのか微妙な感じでした。


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